2016年2月のブログ記事
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愚者の問われ方 生を離れ、死を離れて、生きているいのち。 おれたちは苔の生えている石でできた手洗 い場所で、手を洗い、その水を飲んだ。草 原に寝そべって遊んだ。おれたちはそれぞ れどんな未来が拓けているのか、話したは ずだ。 それが今になって、いったい自分の人生で 何が起こったのか整理するのはすこ... 続きをみる
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消えることのない火 右手にあった、失った池を思いながら、そ の白壁の塀のぬかるんだ細道をいつも歩い ていた。白壁の塀はすっかり剥がれ落ちて、 黄土色に剥がれ、さらに深く灰色に剥がれ ていた。失った友、失った家郷。 その白壁から柘榴の樹が一本あって、おれ の眼を楽しませていた。柘榴の花を遠めに 見て... 続きをみる
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行程のゆくえ いつも通る舗道は、線路との境を明確にする ために、洞窟をつららする白い水晶のかたち をした石杭で区別される。鉄路が赤錆びて繋 がっていて、路石は鈍いあかがね色に染まっ ているのが、おれの眼の高さに見える。ここ にじっとしていると、列車がやって来て鉄路 を打ち鳴らし、おおきくカーヴして... 続きをみる