2015年11月のブログ記事

  • 紙の表裏

    紙の表裏 われわれは進歩しているのか、退歩している のか分からないが、おのれに与えられた時間 を生きねばならない。損得盈虚は時間の常だ。 深く生きるということなら、すこしは判る。 じっくり硬い土に根をつけるには、どうして も時間が必要になってくる。何事もひとつの 道を貫くほかないのだ。損と得とは一... 続きをみる

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  • ポエム 伽藍堂

    伽藍堂 われわれの中身、思うこと、考え方はひとに よって全く違うが、この伽藍堂という構造。 伽藍堂のように中空がある構造。われわれが それぞれに考えたり、思ったりする幻影がそ の中空を漂うことだけは確かなようだ。何も ないから、すべてありうるという伽藍堂、つ まりわれわれのこころの構造自体は誰にと... 続きをみる

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  • 再会

    再会 夜の満員電車のなかで、かれのボタンに毛糸 の紐が引っかかった。彼女の手袋の紐だった。 彼女はその駅で降りようとしていたので、仕 方なく、かれも降りることになった。かれは 彼女を見て、驚いた。彼女も同様だった。三 十年も昔に別れた恋人だった。 顔を見合わせ、お互いに黙りこんだ。かれが 何 から... 続きをみる

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  • 時間の蛇

    時間の蛇 力を嵩にきて、卑劣な脳髄を持つもの。群猿 の王。その王の見えない杖。その杖に捲きつ いた時間の蛇。時間の蛇はらせん状に、しか し容赦なく群猿の王を滅ぼす。生死ともに時 間の恩寵なのだ。 時間の蛇が支配する世界。 群猿の王。蒼いそ の脳髄で、未来に餌を置い ている。目的化す る手段。偽りの... 続きをみる

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  • ポエム 荒地

    荒地 季節はなくなりはじめていた。高層ビルが林 立するなかに、見えない荒地がわれわれの心 を侵蝕する。たとえばそれは車の排気音から 始まった。地階を歩く早朝の孤独な足音。そ れともわれわれの盲目がひどくなったのか。 見えない密室に隠されてゆく老人や病人それ に屍。しずかに配られる紙幣。暗渠に流れこ... 続きをみる

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