2016年1月のブログ記事
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記憶のトルソ ひとりが蹲っているとき、もうひとりは走ら なければならなかった。おお、記憶のトルソ よ。頭のない、腕のない、脚のない、なまめ かしく捻じれたその胴さえもないおまえ。い なくなったおまえのために、ひとりが蹲り、 ひとりが走るのだ。おまえの血は、われわれ のなかにも巡っているのだ... 続きをみる
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水霊のめぐり 岩壁の罅の入ったところどころから、沁みだ してくる薄い水のヴェール。陽に輝いている 水の岩壁。おれは工事中の駅の構内にいても、 その罅より湧きだす水を視ることができる。 てのひらで触れれば、落ちくる流れのなかに おれの熱いてのひらを冷たく覆う水。すべて あたらしい水として、おれのての... 続きをみる