ポエム パペットの交差点

パペットの交差点


車の行き交う交差点をことほぐために青きも
のなき都市の泥濘をゆく。おれの志はいまだ
変わらず。中身のない暗愚の人びとの多さに、
いまさらながら愕かされる。泥濘の脳髄たち
がいたずらにこころなき口をひらく。自己を
深めることもなく、まるでテレビでも視るよ
うに、その対象をあざける類の口吻をして。


思い断ち切るすべをも知らず、短きあいだの
人の世に、もはや神仏のことわりを求めるこ
となく、歌謡曲を口ずさみながらの時間つぶ
し。鬱憤のはけ口にすぐに消えてしまうおの
が言葉のまた脆弱さ。暗愚の王は知らぬ存ぜ
ぬとから言葉を吐く。


おお、おまえ暗愚の王よ、おまえは仕組まれ
たパペットの生死を生きるしかないというこ
とにまだ思い及ばないのか。経済のひとつの
椅子に凭れかかって、いかさま道化を演じつ
づけよ。この世のひとつの駒。この世のひと
つの歯車として。


鏨で叩き割られた墓がおまえの背に建ってい
るが、この世で量れない活字の運命が歩むこ
ろには、おまえも野山の土のなか。ひと摑み
の灰と骨だ。この世は夢でさえなくなる。お
れは志を貫くだけだ。おまえは何を貫くのか。
ああ、また暗愚の旅びとが行く。自己をも極
めようとせず、あのあおぐらき骨壺のなかへ