2016年3月のブログ記事

  • ポエム 烏原幻想

    烏原幻想 水平にかかった物干し竿に雨粒がならび、余 分に雨水を受けたところから、水滴になって 地上へと垂れ落ちていった。 雨が降りだすすこしまえに、古い印象の鵯越 駅がおれの眼には、何故か赤く残っていた。 鄙びたその山中の駅付近におれは、まるで隠 者がこれから向かう、さらなる通過点のよう な鉄錆び... 続きをみる

  • ポエム 空白のニルヴァーナ

    空白のニルヴァーナ ひとつの状況は鳩の来る公園で始まった。郵 便夫が、鞄からとりだした封筒の封を切って いた。届くことのない郵便物が、個人的な指 先で開封されてよいものかどうか。地鳴りの ような音をたてて、車が行き過ぎた。 空白の三年、そのまえの空白の五年。おれは 言葉を求めてさまようことなく、こ... 続きをみる

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  • ポエム 無明の水甕

    無明の水甕 埋立地の倉庫に並び積まれている水甕。もは やこの世に存在したかどうかも忘れ去られて いる腐った水の溜まった水甕がある。 流行歌を唄うくらいの罪悪感の伴わない集団 的暴力のために、悪徳の貨幣を受けとるもの。 悪徳にかんして抑制をもたないのは、妄執に かんする悪弊が脳髄の、つまりはそれが世... 続きをみる

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